本研究課題では、会話分析による知見を英語教師の実践に応用する方法を開発することを目的に2つの小研究課題を設定し、取り組んできた。1点目の課題は、会話分析によって記述した手続き的知識を教師の実践に必要な知識に簡略化する規則を開発することであり、2点目の課題は1によって簡略化した知識を教師が実際に利用できるようにするための研修プログラムの開発であった。 1点目の課題についてはおおむね達成し、これまでの成果はそれぞれ2020年度と2021年度、2022年度、2023年度の国際学会で発表し、それぞれを論文化したものを国際学術雑誌に掲載している。これによって国内外の研究コミュニティに知見として還元することができている。加えて、2022年度にCambridge scholars publishingから出版された書籍のBook chapter、および2023年度にRoutledgeから出版された書籍のbook chapterにもそれぞれ研究による知見を公開している。また、それらを包括したものとさらに実践的な側面を加えた和文書籍を2023年2月に刊行し、教職養成課程等で使用して実践的知見として活用している。 2点目の課題については、当初の研究計画から遅れながらも教職養成課程でのプログラムとして開発を進めている。成果は2022年3月の国内学会、および2023年5月の国際シンポジウムで発表しており、論文にまとめたものは2025年度中に海外出版社から刊行されるBook chapterとして公開予定である。 また、本研究課題に取り組む過程で、海外研究者から共同研究の提案があり、さらに研究内容を発展させていく方向でスウェーデンの研究チームとの共同プロジェクトに取り組んでいる。今後はスウェーデンや北欧の英語教師養成課程とのかかわりから国際共同研究に発展させていく展開となっている。
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