研究課題/領域番号 |
19K13306
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
中田 達也 法政大学, 文学部, 准教授 (00758188)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外国語教育 / 英語教育 / 第二言語習得 / 語彙習得 / 分散効果 / コロケーション / 集中学習 / 分散学習 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語におけるコロケーション知識の習得において、集中学習・分散学習がどのような役割を果たすかを調査することである。これまでの研究では、個別の単語に関しては、集中学習よりも分散学習の方が習得を促進することが示されている。一方で、集中学習・分散学習が複数の語から構成されるコロケーション知識の習得にどのような役割を果たすかは明らかになっていない。以上のような理由から、本研究では集中学習・分散学習が英語コロケーション知識の習得において果たす役割を調査することで、効果的な語彙学習法を提案することを目的としている。 2019年度は、以下の3点を行った。第1に、82人の日本語を母語とする高校生を対象に、集中学習・分散学習が第二言語コロケーション知識の習得において果たす役割に関するデータ収集を行った。具体的には、研究参加者は集中学習条件および分散学習条件という2つの条件で、27の動詞+名詞からなるコロケーション(例. draw a conclusion, break a record, make contact)を3週間にわたって学習した。学習の成果は、学習の直後および1カ月後に行われた事後テストによって測定された。分析の結果、直後テスト・遅延テストのいずれにおいても、分散学習条件の方が集中学習条件よりも有意に高い得点に結び付いたことが示唆された。 第2に、国際学会Vocab@Leuvenでの口頭発表等、研究課題に関連した口頭発表を3本行った。 第3に、研究課題に関連した単著書籍を1冊、論文を6本、書籍のチャプターを2本執筆した。また、査読付き国際誌The Modern Language Journal (Wiley-Blackwell) のguest editorとして、第二言語習得における練習の効果に関する特集号を担当した。なお、同誌のImpact Factorは3.76であり、この数字はJournal Citation Reportsに登録されている言語学分野の国際ジャーナル184誌中4位である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度には、以下の3点を行うことを目標としていた:(1) 分散効果およびコロケーション知識の習得に関する包括的な文献調査、(2) 実験で使用する学習素材およびコンピュータ・プログラムの開発、(3) パイロット・スタディーおよび本実験の実施。当初の予定通り(1) ~(3)を遂行することが出来たため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度前半は、2019年度に収集したデータを線形効果モデル(linear mixed-effects modeling)を用いて分析する。研究成果を踏まえて語彙習得を促進するための具体的な方法を考察し、効果的な語彙習得教材およびカリキュラムの開発・提案を行う。さらに研究成果を国際学会で発表し、査読付き国際誌に投稿するための準備を行う。
2020年度後半には、日本語を母語とする高校生約100名を対象とした再実験を行い、2019年度に得られた結果が再現されるかどうかを調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
招待講演をする予定であった2つの学会(Eighth Annual JALT Vocabulary SIG SymposiumおよびJACET合同研究会)がいずれもキャンセルされ(前者は台風、後者は新型コロナウイルスの影響による)、旅費の使用額が想定を下回ったため。
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