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2021 年度 実施状況報告書

イタリア都市貴族と日本人―異文化との直接的邂逅とイメージの受容―

研究課題

研究課題/領域番号 19K13321
研究機関国際日本文化研究センター

研究代表者

小川 仁  国際日本文化研究センター, 研究部, 機関研究員 (70827849)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード慶長遣欧使節 / 天正遣欧使節 / ロレンツォ・クラッソ / 『著名武将伝賛』 / ローマ / ナポリ / コロンナ家
研究実績の概要

当該年度は、以下の3つの事項について研究活動を展開した。
・新型コロナウィルスの流行により、イタリアでの文献調査を行うことは出来なかったが、これまでにコロンナ文書館やローマ国立文書館で確認した収集した史料(ローマの貴族が記したコロンナ家当主宛の書簡)を中心に翻刻と分析作業に従事した。これらの分析作業については、デジタルアーカイブ化したうえで、AI翻訳技術であるTraskribusで翻訳作業を進め、TEI(テキスト・エンコーディング・イニシアチブ)により、メタ情報抽出に着手している。
・当該年度は前年度に引き続き、17世紀当時、スペインの支配下にありながら様々な情報が行き交っていたナポリに着目し、当該都市の貴族・知識人の日本受容についての研究にも着手している。とりわけ、ナポリ近郊ピアヌーラの貴族でありながら、弁護士、文筆家として活躍したロレンツォ・クラッソ(Lorenzo Crasso, 1623-1695)が、1683年にイタリア語で著した『著名武将伝賛』にスポットを当て、著作内でクラッソが書き記している豊臣秀吉と徳川家康の評伝から、クラッソの日本受容について研究を進めた。その成果として、「驚異へ捧げる賛辞―ナポリ随一の文筆家ロレンツォ・クラッソに見る日本像―」と題した研究論文を執筆、『日本研究』(国際日本文化研究センター紀要)に投稿した。
・当該年度より、イタリア都市貴族も含めた日本観の変遷を解明する取り組みに着手した。研究題目を「17世紀イタリアにおける日本観の変遷」としたうえで、当該科研の研究課題をさらに発展させて、研究深化に注力しているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

デジタルアーカイブ関連技術を用いた史料解析が進んでいる。さらにナポリ貴族であるクラッソの日本像を考究した論文が、『日本研究』第65号(国際日本文化研究センター)で掲載されることが決まった。
新型コロナウィルス流行により、海外での文献調査がままならない状況にありながらも、当該研究課題は、上記の理由を以て、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

新型コロナウィルスの流行に終息の兆しが見えつつあるため、今秋イタリアでの文献調査を実施し、ローマ、ナポリを中心として史料の収集に努める。
デジタルアーカイブ関連技術を用いた史料解析を一層推進するとともに、当該研究題目の発展形として「17世紀イタリアにおける日本観の変遷」の研究の深化に注力する。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたイタリアでの文献調査が、新型コロナウィルスの流行により、全く出来なかったため、その旅費分が、次年度使用額として生じた。コロナ禍終息後に実施する海外調査の費用に、当該次年度使用額を充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] 驚異へ捧げる賛辞―ナポリ随一の文筆家ロレンツォ・クラッソに見る日本像―2022

    • 著者名/発表者名
      小川仁
    • 雑誌名

      日本研究

      巻: 65 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書家・高橋松顧と修道士アントン・チェスカーバチカン図書館蔵、高橋松顧関連史料を巡る問題2022

    • 著者名/発表者名
      小川仁
    • 雑誌名

      KU-ORCASが開くデジタル化時代の東アジア文化研究

      巻: - ページ: 307-316

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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