本研究は、オーラルヒストリー資料から得られるハワイ日系人抑留・転居経験の「記憶」を検証し、ハワイ日系人戦時体験の包括的な記述を行うことを目的とした。 1年目には6月、8月、12月にそれぞれ1週間から2週間程度ハワイでの調査を行い、ニイヤ・コレクション(ハワイにおける「追憶の日」イベント関連の資料)と、ギャラリーにおける展示資料を収集した。また、ハワイ大学ハミルトン図書館において、ハワイ戦時記録コレクションを、カメハメハスクール・アーカイブズにおいて、Midkiff関連コレクションを閲覧・収集した。 2020年度からのCovid-19の世界的パンデミックに伴い、2020年度と2021年度は予定を大幅に変更し、資料整理と論文執筆に集中した。具体的には、オンライン上のデジタルアーカイブスを活用し、新聞記事の調査を行った。また、ハワイ州ホノルルの資料館とメールでやりとりをし、デジタルデータを入手するなどした。2021年3月には査読付き論文を出版し、オンラインの研究発表会でも発表をするなど、2021年度には2020年度に整理した資料による研究成果を発表することができた。 2022年度はCovid-19の世界的パンデミックによる渡航制限が比較的軽くなったことから、11月にアメリカ合衆国カリフォルニア州スタンフォード大学において国際ワークショップに参加して研究報告を行った。また、ハワイ州ホノルルで聞き取り調査を再開したりするなどした。2023年度は、これまでの調査で収集した資料の整理と並行し、デジタルアーカブスでの資料収集を進め、これまでの学会報告内容を論文化することに注力した。
|