研究課題/領域番号 |
19K13323
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
武藤 三代平 北海道大学, 文学研究院, 専門研究員 (50804621)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 殖民協会 / メキシコ榎本植民 / 自由党 / 榎本武揚 / 板垣退助 / 熊本国権党 / 南洋貿易 / 開拓使 |
研究実績の概要 |
本年度(2021年度)は補助事業期間の3年目に該当した。2020年度と同様にパンデミックが継続し、資料調査に関しても行動範囲が限定的にならざるを得なかった。そのため、 昨年度と同様に研究拠点から近距離にある首都圏域に資料調査範囲を絞って研究活動を行った。 第一に、国立国会図書館へは頻繁に資料調査に向かい、明治期の移植民事業や政治史に関する文献、並びに未見の資料を詳細に調べることができた。第二に、外務省外交史料館に赴き、出移民(emigration)や移民会社、条約改正に関する資料を調査した。第三に、早稲田大学図書館では、明治期の新聞資料(英字新聞も含め)や雑誌等の基礎的な文献を網羅的に調査するよう努めた。海外へは出張しにくい状況が続いていたため、外国語文献に関しては、諸外国のアーカイブも含めて、国内で観覧ができる範囲において調査を行った。 本年度の研究成果として、第一に、2020年度に学会発表を行った「明治青年による移植民事業と労資関係の形成」の小論を公表した(『早稲田大学 総合人文科学研究センター研究誌 WASEDA RILAS JOURNAL 』No.9)。第二に、移植民事業のプロトタイプとしての北海道移住と開発を扱った成果として、洋学史学会監修『洋学史研究事典』(思文閣出版)が刊行され、分担執筆として「幕末維新期の北海道開発」を担当した。 なお、本研究は本年度で補助事業期間を終了する予定であったが、主要な研究論文の雑誌掲載が次年度内となったため、1年間の補助期間延長を申請させて頂いた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も新型コロナウイルスの世界的な感染が続き、資料調査等を行うための移動が限定的にならざるを得なかった。そのため昨年度と同様に、研究拠点から比較的に移動しやすい首都圏を対象とし、基礎的な文献の見直しや未見の文献を精査することに傾注した。そのため、当初の計画とは違った作業となったものの、論文執筆等におけるデータ的な基礎固めができたと考える。研究成果として、小論の発表と分担執筆をした事典の刊行があった。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度で終了する予定であったが、1年間の補助事業期間延長を頂いた。2020年度中に採録が決定していた研究論文「海外植民をめぐる自由党と榎本武揚:明治中期「出移民」の政治動向」が雑誌論文に2022年度内の掲載となった。これらの論文の公表等が次年度に控えている。 最終年度の計画としては、2021年度までに終えている資料調査・データの蓄積を基盤とし、論文の執筆に専念する方針である。第一に、熊本国権党(中央では国民協会)を中心とした海外移植民の政治動向。第二に、榎本武揚外務大臣期における条約改正と移植民の関係性を税権回復の視点から攻究すること。以上の二本に傾注し、執筆と公表に努めたい。極力、補助事業期間内に研究成果を公表できるよう努めるが、場合によっては補助期間の終了後となってしまう可能性も想定される。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度が補助期間の最終年度であったが、主要論文の発表が次年度となっため、1年間の期間延長を行った。次年度は論文執筆等に注力するため、1回程度の資料調査の旅費(もしくは物品費)に使用する計画である。
|