当初予定していた研究期間は2019~2022年度までであったが、新型コロナウイルス感染拡大や期間中の所属変更などの影響によって計画変更を余儀なくされ、今年度が最終年度となった。 今年度は、これまで実施することのできなかった徳富蘇峰記念館(6/22・8/4)、国立公文書館(6/23・7/29・11/18)、岸田吟香記念館(2/24)、伊藤公資料館(2/25)、山口大学図書館(2/26)などへの史料調査を行った。国立公文書館では、日報社社長の福地源一郎が幕臣として外国奉行にいた頃の記録や明治維新後に欧米へ渡った時の史料、また明治10年前後の日報社に関わる公文書も入手することができた。そして、前年度までに収集した史資料とともに日報社に関する継続的な分析を進めた。 また、2022年度に調査を行い富山県立図書館と富山県公文書館で収集した史資料の検討を進め、その成果の一部として、2024年3月に「日報社に関する基礎的研究――富山県公文書館所蔵日報社関係史料を中心に」(『EAA Booklet 34/EAA Forum 24 出版・報道文化の近代化1――「人」から読み解く』東京大学東アジア藝文書院)という論文を発表した。さらに、2024年3月31日に行われた第8回近代日本メディア研究会において、「草創期の日報社に関する研究──富山県公文書館所蔵海内家文書を中心に」という成果報告を行った。日報社は、これまで『毎日新聞』の社史の中でふれられる程度で、不明な点が多かった。しかし、富山県公文書館が所蔵している『日報社創立証書』をもとに考察を行い、これまでとは違う草創期の日報社の一端を明らかにすることができた。
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