研究課題
若手研究
本研究は、秋田藩9代藩主佐竹義和を事例として、近代における旧秋田藩士による大名顕彰事業の実態を分析するとともに、近世史料を用いて義和の実像を検討した。その結果、明治末年から大正期にかけて、佐竹義和の顕彰事業が進められ、義和を中興の「名君」とする認識が共有されることを明らかにした。また、佐竹義和の自筆記録の分析を通して、評伝を通して語られてきた家老との関係を相対化し、一門や側方が義和の意思形成に影響を及ぼしていたことを明らかにした。
日本史
本研究は、日本近世史、近代史を架橋し、さらにアーカイブズ学の視点から大名のイメージ形成過程とそれに対する実像に迫った点で学術的意義がある。また、近世大名については、伝記などを通して郷土の偉人としてのイメージが形成され、それは現代社会においても根強く共有されているが、本研究は大名の自筆記録を用い、共有されている大名像の相対化を図った。すなわち、実証的な分析により、その成果の共有を図った点で社会的意義がある。