本研究では、明治大学中央図書館所蔵『除秘鈔』に付随する除目書である『無外題春除目』について検討し、この除目書が天文年間に三条西家で書写されたこと、内容は甲・乙二種類の除目書が混在し、甲群は九条良経編『春除目抄』とほぼ同内容を持つもので、乙群は九条家流の除目作法に関する問答形式の故実書であることを明らかにした。 また、乙群は石川県立歴史博物館所蔵の「畠山義総関係文書」の一部の紙背と密接に関係すること、三条西家では公保・実隆・公条の三代にかけて摂関家相伝の除目書の閲覧・書写が行われ、その過程で当該史料が書写されたこと、三条西家が二条家経由で九条家流作法を伝承していた可能性が高いことを論証した。
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