研究課題
若手研究
本研究は、近世成立期における首都の多元性を、豊臣秀吉の「首都」である京都・大坂・伏見の関係から考察したものである。従来の近世「首都」論では、首都は単一であることを暗黙の前提に議論がなされてきた。しかし、秀吉や当時の人々の認識を分析した結果、豊臣期の「首都」はむしろ複数が併存していたことが常態であり、そうした観点から江戸時代の「首都」についても捉える必要があることを論じた。
日本近世史
近年、東京への一極集中のあり方が見直されつつあり、文化庁の京都移転など、首都機能の分散に関する議論が活発化している。本研究は、日本において、著名な古代の福都制以外の時期にも「首都」が複数存在した可能性を指摘した。こうした成果は、今後の首都のあり方を考える上でも重要な論点を提示しえたものと思われる。