研究課題/領域番号 |
19K13335
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
加藤 明恵 神戸大学, 人文学研究科, 特命助教 (30824528)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 近世公家領 / 在郷町 / 在郷町運営 |
研究実績の概要 |
摂家による家領経営の実態について主に金融・財政的側面に着目して明らかにするという研究目的により、2022年度は、近衛家領である摂津国川辺郡伊丹郷町における、町政組織による金融活動と近衛家財政との関係を主に18世紀を対象として検討した。近衛家の伊丹郷町支配の実態を検討するため、近衛家で作成された日記である「御用雑記」(陽明文庫所蔵)を調査した(調査は東京大学史料編纂所所蔵写真帳を閲覧)。また、前年度より引き続き小西新右衛門氏文書(伊丹市立博物館寄託)、小西家萬歳蔵資料(小西酒造株式会社蔵)の調査・翻刻等を実施した。小西新右衛門氏文書については、近衛家代官から伊丹郷町役人宛の書状や、町政組織の金銭の収支記録を中心に調査・写真撮影を行った(撮影コマ数556コマ)。小西家萬歳蔵資料については、昨年度から引き続き小物成徴集や運用に関する史料の調査を行った。 18世紀の畿内在郷町において町政組織が管理・運用する財源が形成され、領主への貸し付けにも利用されたが、領主から支払われる利息金が町政組織管理財源の安定的な収入となっていたことを明らかにすることができた。地域で管理・運用される財源については、これまで19世紀を対象とした研究が多かったが、新たに18世紀の事例を提示することができ、近世中期の在郷町の変容についても評価し直すことができた。この研究成果については大阪歴史学会近世史部会および同会誌において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は研究目的に沿って必要な調査をおおむね実施することができたが、2019年度末からの新型コロナウイルス感染症拡大により延期した調査に関しては、調査日程を十分に確保することができず、遅れをすべて取り戻すことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
史料調査がやや遅れているため、追加で調査を進める必要がある。翻刻された刊行史料集等も適宜利用し、すみやかに調査を進めていく。また、研究成果をとりまとめるため調査内容を整理する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金が生じた主たる要因は、2019年度末から2021年度末頃まで、新型コロナウイルス感染拡大のため予定通り史料調査を実施することができなかったこと、および2022年度中に遅延した史料調査を完了できなかったことにある。今後、次年度使用額は主に史料調査のための旅費として使用するほか、成果報告のために使用する。
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