研究課題
若手研究
本研究では第一次世界大戦後日本の治安体制について分析し、第一次世界大戦後から1930年代前半までの「結社」をめぐる概念・治安法の歴史的展開を明らかにした。とりわけ、結社規制の運用については、明治期から1930年代前半までの連続性、非連続性を結社規制発動事例の悉皆的な調査を通じて明らかにした。また、本研究では治安法制定における外国法の影響及びマスメディア、衆議院議員・貴族院議員の外国法に対する認識についても明らかにした。
日本政治外交史
第一に、治安法に関する研究への貢献である。治安維持法は「結社取締法」として成立した。しかし、先行研究では治安維持法そのものに焦点が当てられ、近代日本の治安法形成における「結社」の概念・取締法の形成・変質過程はいわば研究史上の盲点となっていた。第二に、国際的位置づけについてである。同時代において欧米諸国が「過激派」に対し、どのような法規制を行ったのか。そして、日本は外国法のいかなる点を継受したのかという比較法制史的視点は希薄であり、その間隙を、ささやかながらも埋めることができた