中近世移行期における厳島神社の研究

2022 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K13340
• 研究機関: 県立広島大学
• 研究代表者: 大知 徳子 県立広島大学, 公私立大学の部局等(広島キャンパス), 講師 (50549243)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 厳島神社 / 大願寺 / 大願寺文書

研究実績の概要

本研究は、宮島に伝来する文書のうち、『広島県史 古代中世資料編』Ⅱ・Ⅲ（厳島文書編１・２）に収録されていない中世文書を活字化し、「大願寺文書」と「野坂文書」の目録を作成・分析することにより、中近世移行期における厳島神社の継承と変質を明らかにしようとするものである。
昨年度にすべての古文書の調査を終え、所蔵者と相談の上で中世文書の目録を作成し、一部を活字化する予定であった。「大願寺文書」については調査を終え、目録を作成することができた。「野坂文書」については、上半期に所蔵者（代理）の立会いのもとで中世文書の撮影をおこなうことができたが、下半期は新型コロナウイルスの影響等を考え、調査を中断することとなった。このため、昨年度の調査で作成した仮目録を手掛かりに、中世文書の選別作業をおこなった。
当初の想定以上の量の中世文書が近世文書群に混在していることが判明し、原本を一点ずつ確認する作業が必要であったが、コロナ禍における限られた調査の機会では、全ての文書の確認を終えることができなかった。しかしながら、野坂文書の調査は残り約30点で終了する見込みとなった。このため、残りの文書の撮影と、所在目録の完成は次年度に実施することとなった。なお、限られた調査の機会で効率的に作業を進める必要があったため、本研究でおこなう「中世文書の選別、撮影」と「基盤研究（Ｃ）21Ｋ00854、研究代表者：大知」で行う「当該研究に必要な近世文書の選別、撮影」は同時並行で実施した。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルスの感染対策等により、古文書の調査や撮影は中止・延期を繰り返すこととなった。しかしながら、さらに１年間の延長申請が認められたことから、新型コロナウイルスの感染状況が昨年度・今年度と同様に長期間にわたり悪化しない限りは、当初計画していた研究を概ね達成することができると考える。

今後の研究の推進方策

「大願寺文書」については研究成果報告書の作成に向けて、所蔵者と協議を重ね、許諾を得られた文書について翻刻を進めたい。
「野坂文書」については、撮影・目録の作成とともに、報告書の作成を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

令和２年度～４年度にわたり、新型コロナウイルスの感染拡大状況を受けて、当初計画していた資料調査を実施することができなかった。このため、最終報告書の発行等に必要な経費を翌年分として請求することとなった。