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2019 年度 実施状況報告書

和歌・和文から見た琉球・日本の文化交流

研究課題

研究課題/領域番号 19K13341
研究機関名桜大学

研究代表者

屋良 健一郎  名桜大学, 国際学部, 上級准教授 (40710158)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード和歌 / 和文 / 漂着 / 注釈
研究実績の概要

2019年度は主に、近世の琉球士族によって記された和歌・和文の注釈作業を進めた。まずは、識名盛命が1700年に記した紀行文『思出草』上巻を琉球文学研究者・日本文学研究者とともに講読し、先行する池宮正治による注釈を発展させる形で新たな注釈の作成を行った。『思出草』上巻では薩摩滞在中の琉球士族と薩摩役人との交流の様子が描かれており、登場する人々の人物比定の点で課題を残すものの、鹿児島での琉球士族の活動を垣間見ることができる。
加えて、琉球文学研究者・和歌研究者と共に近世後期の琉球の歌人である浦添王子朝憙の和歌の注釈作業を進めた。琉球士族の和歌については池宮正治によって全体像が示されており、作品も収集されてきたが、作品の細かい分析はこれまであまり行われてこなかった。和歌の注釈作業を進めることで、琉球士族が先行するどのような作品を踏まえていたのかを、わずかながらも窺うことができるように思える。この和歌の注釈に関してはまだ成果を活字化していないが、今後、発表していきたいと考えている。
概して、2019年度は研究の基礎となる注釈作業が主な研究成果であったと言えよう。また、鹿児島県内の図書館等において、琉球・薩摩の和歌関係の資料の探索を進めた他、琉球の人々と近世日本の人々の交流を生んだ漂着に着目し、漂着関係史料の収集・分析も行った。次年度以降も、琉球士族の残した作品の注釈作業と漂着関係史料の分析を進め、近世の琉球と薩摩・日本の交流の実態を捉えることを目標としたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年2月・3月に史料調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で出張を見送らざるを得なかったため。

今後の研究の推進方策

近世琉球と薩摩・日本との交流に関して、国内のいくつかの地域において史料調査を実施したいと考えている。新型コロナウイルスの影響を見ながら史料調査を実施したいと考えるが、史料調査が行えない期間においては、既に収集してある史料の整理・入力作業・分析を集中的に行い、研究を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

2019年度は、当初の予定よりも史料調査を多く行う見込みとなり、前倒し請求を行った。しかし、その後、新型コロナウイルスの感染拡大が進み、史料調査を実施することが困難となったため、前倒し請求を行った分を充分に使用することができなかった。2020年度においては、新型コロナウイルスの状況を見ながら、前年度に実施できなかった分の史料調査も行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 「琉球文学」資料注釈5 『思出草』上2020

    • 著者名/発表者名
      島村幸一・小此木敏明・屋良健一郎
    • 雑誌名

      立正大学人文科学研究所年報

      巻: 57 ページ: ー

  • [学会発表] 漂着から見た近世の琉球と日本2019

    • 著者名/発表者名
      屋良健一郎
    • 学会等名
      説話文学会2019年度9月例会シンポジウム「〈異域〉説話をめぐって」
  • [学会発表] 和歌・和文から見た近世の琉球と日本2019

    • 著者名/発表者名
      屋良健一郎
    • 学会等名
      沖縄文化協会2019年度公開研究発表会
  • [図書] 琉球船漂着者の「聞書」世界2020

    • 著者名/発表者名
      島村幸一、横山學、真栄平房昭、屋良健一郎、嘉手苅徹、橋尾直和
    • 総ページ数
      472
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      978-4-585-29197-8

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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