研究課題
最終年度には、史料調査および研究のまとめを主に行った。沖縄県外では、国立国会図書館、鹿児島県立図書館、九州大学附属図書館などを訪れ、琉球に関わる文学作品を主に調査した。また、本研究においては、琉球と日本との和歌・和文をめぐる交流を調べる上で種子島にも注目していることから、同島での調査を2度行った。琉球と種子島との和歌を通じた交流を示す史料はわずかしか確認できなかったものの、種子島開発総合センター鉄砲館での史料調査により、近世の種子島においてどのような和歌の作者がいたのかを知ることができ、また、近世の種子島と琉球との交流に対する理解を深めることができた。研究成果のまとめとしては、この数年の研究を踏まえ、近世琉球における和歌の状況を考察し、近代短歌への展開を記した論文を発表した。研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、琉球人による和歌・和文を詳細に検討したことがあげられる。研究期間内には琉球人の和歌・和文を対象にした研究会を、琉球文学研究者・日本文学研究者と共に定期的に行い、作品の翻刻・注釈・現代語訳を作成した。その成果の一部は島村幸一・小此木敏明・屋良健一郎『訳注琉球文学』(勉誠出版、2022年)に反映されている。本研究を通じて、琉球人によって記された和歌・和文について、従来の研究を踏まえながら、作品の具体的な検討を進めた。その成果は琉球の和歌・和文研究を本格的に進める上での基礎的な作業とも言えるだろう。
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