本課題が扱った1960年代前半は、島ぐるみ闘争と復帰運動という、戦後沖縄の代表的な大衆運動の狭間に当たる。二つの運動は米軍当局に対する抵抗運動という点で共通し、先行研究でも連続・発展的関係として位置づけられてきた。他方、本課題は、その違いと断絶に着目した。 島ぐるみ闘争後の米国は住民との融和を図り、米国統治方針の刷新を図った。にもかかわらず、復帰運動という新たな抵抗運動が引き起こされた理由を考えるためには、二つの運動を腑分けし、各々の動因を社会経済構造との関わりから再検証する必要があると考えた。 こうした検証は、復帰後の沖縄で大衆運動の停滞が生じた理由を考えていく上でも不可欠と考えられる。
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