研究課題
若手研究
本研究では、中世荘園の環境復原を目的に、地名・屋号・地形・地域伝承などに注目し、歴史地理的観点から地形や公図との比較検討を進めた。さらに、各地域の地名をはじめとする歴史情報のアーカイブ化も目標として調査を進めることができた。その成果として、備中国で2地域、丹波国で2地域の計4地域を対象として、地名と現地景観の確認および撮影、地形の確認等を行うことができた。こうした成果は、史料の乏しい荘園の環境復原を進める基礎情報の整理として、今後の活用を見通している。
日本中世史
中世荘園研究は、豊富な史料の残存状況に恵まれた素材を中心に進展してきた経緯があり、その成果の蓄積も膨大であるといえる。一方で、中世荘園が存在したことは分かっているものの、関係史料が限定的であるがゆえに、研究対象にすらされてこなかった荘園も数多ある。本研究では、これまで史料的制約から注目されてこなかった荘園や、現地調査や地名情報の蓄積が少ない荘園を取り上げることで、多角的に中世荘園の環境復原を試みようとする取り組みである。