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2021 年度 実施状況報告書

墨書木製品の分類を手がかりとした日本における木簡利用全史の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K13359
研究機関独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所

研究代表者

藤間 温子  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 客員研究員 (00810368)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード出土文字資料 / 木製品 / 日本人 / 木の利用 / 訓蒙図彙
研究実績の概要

本研究は、墨書木製品の分類を手がかりとして、時代によって変化していった日本人と木簡との関係をあきらかにすることを目的としている。種々雑多な墨書木製品を分類するためには、時代が降るにつれて増加する墨書木製品の用途を見極めることが必要である。そのために、a)文献史料にあらわれる木簡の集成、b)伝世品を含めた(墨書)木製品と木簡の調査、c)墨書木製品の再認定とその類例の集積、以上3点について作業および調査をおこない、日本における木簡利用の歴史について考察する。
初年度は資料収集と現地調査を進め、2年目は、文献からの事例収集と一覧表作成を進めた。3年目となる令和3年度は、a)文献史料にあらわれる木簡の集成、b)伝世品を含めた(墨書)木製品と木簡の調査 を重点的におこなった。
a)について、江戸時代の図解事典「訓蒙図彙」や江戸時代後期の風俗誌「守貞謾稿」から木製品や日用生活における木の板の使用例など本研究に有意義となる事柄の収集をおこなった。近世に使用された多種の木製品の理解につなげていく。
b)について、京都市檀林寺伝世の檜扇、大阪府泉南市岡中西遺跡出土の呪符木簡、横浜市指定文化財オシャモジサマ(奉納杓子)の実見の機会を得た。
このほか、研究初年度から引き続き、全国で出土した墨書木製品の一覧表の作成を進めた。今後の調査で実見もしくは確認すべき事例を確定しながら、分類の基準となる要素やグループ分けを考えている。新たなデータの収集とともに、丁寧にデータを見ていく作業を続ける。また、平城宮跡神祇官出土木簡を考えるため、神社に関わる木簡を検討している。
そのほか、別の研究プロジェクトの一環で、豊岡市、山口市および美祢市出土の木簡、木製品を調査する機会を得、本研究にも資するところがあった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

令和元年度後半から令和3年度にかけてはデータ整理と並行して、各地で出土した墨書木製品の調査を進める予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、調査日程の調整がうまくいかなかった。感染の落ち着いた年末にいくつかの調査をおこなうことができたが、研究当初に予定していた調査はほとんど実施できていない。その分、文献史料からの類例収集やその考察に時間をかけることができているものの、進捗状況は遅れていると考える。

今後の研究の推進方策

研究の最終年となる令和4年度は、昨年度までに収集した事例のうち、実見が必要な資料を確定し、現地調査もしくは文献などによる確認作業をおこなう。延期した調査についても日程調整を再開したい。
新たに出土する事例を捉えておく必要があるため、全国での出土事例の収集作業を継続する。並行して分類のための整理作業が必要と考えている。木製品を示す型式番号(06型式)ではない木簡の中にも用途としては木製品であるものも含まれる(01型式など)ため、作業の進捗状況をみながら、分別を進めてゆく。出土当時は用途不明とされた木簡であっても、現在まで蓄積された資料をもとに見直したときに用途が判明することがある。新たなデータの収集とともに、データを丁寧に見ることを続けていく。また、最終年度に予定している史料集成の作成に向けて、釈文の入力作業を進める。

次年度使用額が生じた理由

研究期間の3年目までは、木簡が大量に出土している地域や中世木簡の類例の多い地域を対象として全国各地での調査を進める計画だった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により調査日程の調整が滞り、研究費を用いての現地調査に赴くことができなかった。令和4年度は引き続き情勢を見極めながら、全国各地への調査打診、日程調整を再開させ、調査をおこなう。現地調査が難しい場合には報告書などの文献資料を基本として確認作業を進めたい。
また、収集した資料の整理や入力データの校正作業についても着手する必要がある。これらの遂行のため繰越金および今年度助成金を使用する計画である。

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公開日: 2022-12-28  

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