本研究では、日常的な活動における記録の生産やその保存・活用あるいは廃棄といった行為を「アーカイブ」的行為ととらえ、監獄という場における事例研究を行なった。ウルドゥー語、ヒンディー語、英語、日本語の歴史資料に依拠して研究を進めることとし、アジアにおける英領植民地と明治日本の監獄に注目した。パーキスターンと日本(北海道および九州)における資料収集と現地調査を行ない、資料の分析を進めた。成果として、英領インドの北西州における監獄ネットワークの形成過程、監獄報告書等を基盤とする情報の集積を前提にした「監獄の失敗」の言説とその作用、そして「記憶の場」としての流刑地の表象についての考察を行なった。
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