朝鮮中近世の古文書研究の重要な課題である様式論的研究と伝来論的研究を遂行し、高麗(10~14世紀)・朝鮮初期(14~15世紀)における公文書の押印位置の変化、および朝鮮後期(17~19世紀)における国王関連文書の廃棄の実態を解明した。また、朝鮮古文書の事例収集の一環として、日本に所蔵されている壬辰戦争(文禄慶長の役)関連の朝鮮古文書の悉皆的な調査を進めた。特に、日本軍の捕虜とされた朝鮮王子一行の墨跡(書簡・詩文)を網羅的に収集・整理して内容分析を行い、また、1594年に発給されたと伝わる「朝鮮国礼曹司書簡」が偽作されたものであることを指摘した。
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