タイの近代国家形成は、19世紀後半から構築された絶対王制のもとで進められた。その過程で、文化政策を通した王権の強化が図られたことはよく知られており、様々な観点から研究が進められてきた。 本研究は、教育行政・王室儀礼・文化財行政など広範な領域を対象として、近代タイの文化政策が、西洋列強諸国および日本との外交関係の影響を受けながら形成されていった実態を明らかにした。特に、文化政策史の分野でこれまで着目されることが多かったダムロン親王に加えて、プリッサダーン親王やチャオプラヤー・タムマサックモントリーの果たした役割を示唆することができたことは、今後の研究においても重要な成果である。
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