研究課題/領域番号 |
19K13372
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
澤田 望 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (70728146)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アフリカ / ナイジェリア / メディア / 新聞 / 世界 / 計量テキスト分析 / 歴史 |
研究実績の概要 |
本研究は、アフリカからみた世界史を記述する際に有用な新聞史料の分析手法を探求するものである。その一端を明らかにするために、英領ナイジェリアの英字新聞における外部世界報道の諸相に注目し、質的手法に加えて、計量テキスト分析による通時的な分析を試み、その可能性を検討する。初年度にあたる2019年度は、先行研究調査を進めながら、量的研究データの収集と構築に努めた。具体的には、① データベース「World Newspaper Archive (African Newspapers Series 1 & 2)」に収容されているLagos Observer紙とLagos Weekly Records紙のPDF化、OCR処理、書き起こし作業を進めた。② 2019年8月のイギリスおよび2020年2月のナイジェリアにおける海外調査によって、国内からアクセス不可能な新聞を入手した。イギリスの大英図書館では、データベース「African Newspapers: The British Library Collection」を参照し、植民地初期~中期に発行された5紙における社説、読者投稿欄、海外ニュース欄の傾向について知見を得た。保存状態が悪く閲覧不可となる可能性の高いAfrican Messenger紙、Nigerian Spectator紙、 Lagos Weekly Record紙の一部を、ナイジェリア国立史料館でデジタル化したことは重要な成果といえるだろう。イバダン大学考古学・人類学学科Aderemi Ajala教授および歴史学学科Olutayo Adesina教授と面談し、史料の保管状況の問題点とテキストマイニングを含む新たな手法について意見交換を行った。③ ナイジェリア新聞における世界報道に関する予備調査結果をまとめ、イバダン大学発行のAfrican Ethnography誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は研究計画に沿って、関連する先行研究調査を進めながら、歴史新聞データの収集とデータ構築作業を進めてきた。ナイジェリアにおける史料収集によって、欧米の史料館等に所蔵されていない1920年代の歴史新聞の原本を確認し、デジタル化したことは今年度におけるもっとも大きな成果であった。一方で、新聞データの書き起こし作業に、当初の予定以上の時間を要している。理由として挙げられるのは、研究対象地域の史料全般に見られる印字の不明瞭さであり、OCR処理後にも手入力が必要な箇所が多いためである。新聞史料の分析手法を探求する上で、計量テキスト分析の前処理作業として、どのくらいの時間と予算が必要となるのか具体的な指標を得たことは、今後の研究の発展に非常に有用であった。2020年度も引き続き、複数の研究補助者に作業の一部を委託することで効率化を図っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、研究データの収集と構築、および分析の前処理作業を終える予定である。新型コロナウイルス感染症の流行により、海外での史料収集や研究報告を当初の計画通り行うことが難しい状況が続くことが予想される。すでに、2020年度参加予定であった国際学会が中止となっているため、今後研究の中間報告の方法を再検討し、現地のリサーチアシスタントを通してデータ収集作業を継続するなど、可能な限り軽微な研究計画の変更によって対応し、計量テキスト分析ソフトウェアKH Coderを使った分析作業に入る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析の前処理作業である新聞データの書き起こし作業において、OCR処理後の手入力作業に時間を要しているため、次年度使用額が生じた。昨年度に加えて3名の研究補助者に作業を委託し、助成金を計画に沿って支出する予定である。
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