研究課題/領域番号 |
19K13372
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
澤田 望 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (70728146)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アフリカ / ナイジェリア / メディア / 新聞 / 世界 / 計量テキスト分析 / テキストマイニング / 歴史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、質的手法と量的手法を循環的に用いることで植民地初期ナイジェリア新聞に掲載された主題と地域の通時的な分析を試み、アフリカ歴史新聞を対象とする計量テキスト分析の可能性と留意点を提示するとともに、通信技術・交通網の発達やアフリカ系人が有したネットワークが新聞の紙面に与えた影響の一端を明らかにすることである。 3年目にあたる2021年度は、引き続き分析データの構築作業を進めながら、Lagos Observer紙とLagos Weekly Record紙について予備的な分析を行った。またアフリカ大陸における近代メディアとして新聞・ラジオ・映画が果たした役割の歴史に関する先行研究を、政治コミュニティとプロパガンダ、大衆文化の発展といったテーマを軸に整理した短い論稿が、「メディアとアフリカ植民地支配」として『論点・東洋史学』に掲載された。分析結果を外部公開する段階には至らなかったものの、今年度における研究の進展を支えたのは、デジタル・ヒューマニティーズを推進する研究者が主催するワークショップ・研究会・勉強会への参加であった。デジタル・ヒューマニティーズSummer Days 2021 (Transkribus, GIS, TEI)、Nvivoワークショップ、MTMineRテキストマイニング講習会、KUDH Basics:TEIワークショップなどにおいて、人文情報学の研究手法に関する新たな知見を得た。さらに2022年3月8日には日本デジタル・ヒューマニティーズ学会「人文学のための情報リテラシー」研究会第三回研究会において、歴史新聞に掲載された地域と主題の計量テキスト分析について相談する機会を得ることができ、テキスト解析ツールによる抽出語など分析結果の違いや、分析データ構築作業における人名・地名の扱い、研究成果の可視化に関する疑問点が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析データ構築作業最終段階においても、歴史新聞の印字の不明瞭さからOCR処理後の作業において当初の予定よりも多くの時間を要した。高い英語力とナイジェリア関連史料読解能力を有する人材を求めて、データ構築作業の一部を海外に居住する研究補助者に委託しているが、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響とナイジェリアにおける高等教育機関のストライキ等に伴い、断続的に作業の中断が余儀なくされた。一方でデジタル・ヒューマニティーズに関する知見が広がり、予備分析の一部を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、Lagos Observer紙の社説と読者投稿欄および、Lagos Weekly Record紙の社説における掲載地域と主題に関する分析を進め、予備分析結果の一部を報告予定である。所属機関が研究費を使った海外出張について厳しい規制を設けているなかで、予定していた学会への参加を諦めざるを得ない状況が生じているが、発表媒体を再検討するなど必要な対策を講じたい。
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