本研究は、1920年代に在台日本人論者が台湾社会や政治の変容を論じた著作を素材に、彼らが近代台湾史上初の「台湾人」(漢人を意味し、先住民は含まれない)自身による本格的な政治運動である議会運動を、「台湾人」の民族性に対する認識という文脈からいかに論じたか、そして議会運動がいかなる認識空間に置かれていたかを検討した。 具体的に、こうした議論が1920年代までの在台日本人の「台湾人」認識といかなる関係にあったか、また同時代の民族心理学といかなる関係にあったかについて論じた。さらに、在台日本人社会による「台湾人」認識の特徴を指摘し、こうした認識に対する「台湾人」エリートの受け止め方についてもふれた。
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