現在いわゆる“明清史”と総称される研究分野では、清朝の内陸アジア的性格を重視する研究が多数を占め、明朝と清朝の不連続を強調する傾向が強い。ただしその多くは乾隆(1736年~1795年)に至る清朝前半期の満蒙の王公や旗人官僚の特異性を論じる。しかし清朝後半期に関する研究は少なく、また基層・中級官僚の追跡は困難であった。本研究は申請者の既存の研究成果の延長線上にあり、研究史の空白を補うものとなった。ここからはさらに多様な清朝の実態を見いだしたものと信じる。なお対比調査を行った現代中国の関係部署管理や教育行政の分野においても、歴史時代と相似をなす政権の政策方針を確認することができた。
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