研究課題/領域番号 |
19K13379
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
塩野崎 信也 龍谷大学, 文学部, 講師 (70801421)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アゼルバイジャン / ロシア帝国 / ペルシア語文化圏 / コーカサス |
研究実績の概要 |
新型コロナの影響により、2021年度も、予定していた海外での資料・文献調査が不可能であった。入手予定であった文献を用いた研究は、遂行できていない。 一方で、既に手許にある史料や日本で入手できる史料を利用した研究をいくつか並行して進めている。その成果として、2020年度に行った口頭発表の内容をまとめた論文「ロシア帝政期南東コーカサスの離婚裁判 : 2度結婚した後に2度離婚した未婚女性の事例 」を『東洋史研究』80巻3号(2021年12月、548-513頁)に発表した。法廷文書を詳細に検討することで、離婚裁判の一事例を復元し、そのから裁判の本質、イスラーム法の運用の実態、ロシア帝国の統治のあり方などを明らかとした。また、「「仲裁」するシャリーア法廷:南東コーカサスにおける裁判の制度と実態」が、磯貝健一・磯貝真澄編『帝国ロシアとムスリムの法』(昭和堂、2022年)の第3章として出版された。 また、「住民一覧」「郡内モスク教区一覧」といった史料群を分析し、19世期の南東コーカサスにおける人口の変遷を分析する研究を開始し、その第1弾として「ロシア帝政期のヌハ郡におけるスンナ派モスク教区の人口推移」(『東洋史苑』95号、2022年3月、21-36頁)を発表した。 昨年度から開始した都市ギャンジャに関する研究は、「スルタンとシャーの新たなギャンジャ」(守川知子編『都市からひもとく西アジア:歴史・社会・文化』勉誠出版、2021年)という形で結実した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」欄にも記した、新型コロナの影響によって海外調査における文献調査が不可能であることが大きな影響を及ぼしている。しかしながら、本年度は、それを前提とした研究計画を遂行することで、研究開始当初に想定していたのとは違った形ではあるが、いくつかの成果を挙げることが出来た。 これらを総合的に判断して、「やや遅れている」という評価が妥当であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、海外における文献調査も再開できる見込みである。アゼルバイジャン共和国の各資料館、書店における調査を遂行する予定である。可能であれば、ジョージア、イラン・イスラム共和国、トルコ共和国での調査も行いたい。時期については、9月あるいは2月になる。一方で、昨今の情勢により、ロシア連邦における調査は予定からはずしている。 国内においては、上述の文献調査の準備を進めつつ、これまで進めてきた研究をより深化させていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響により、海外出張が不可能となったため。 これらの差額は、2022年度は海外出張が再開できると考え、旅費として利用する予定である。
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