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2021 年度 実施状況報告書

古代ローマの庭園と「フォーマル・ガーデン」の起源に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K13384
研究機関名古屋大学

研究代表者

川本 悠紀子  名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (70780881)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード古代ローマ / 庭園 / ポンペイ / Wilhelmina Jashemski / 西洋古典学 / 西洋古代史 / 建築史 / ギリシア哲学
研究実績の概要

本研究は、文献史料の調査、発掘報告書や関連する資料の調査、壁画・遺構の調査ならびに、発掘調査により古代ローマの庭園とフォーマルガーデンとの関わりについて再検討するものである。しかし、COVID-19による影響を受け、本来予定していた資料調査ならびに発掘調査が出来ないこととなった。これにより、2021年度は古代ローマの庭園に関連した史料の再精査を2020年度に引き続き行った。
その結果、共和政末期から帝政初期の間に建てられた郊外別荘がギリシア哲学の影響をこれまで考えられてきた以上に受けていたことがわかった。郊外別荘の中で行われてきた活動の中に哲学議論があったこと、別荘においてギリシアの哲学の影響を受けた装飾プランが見られることについて触れた先行研究はあったが、哲学と郊外別荘との関わりはこれまで総合的に検証されてこなかった。キケロの書簡に見られる別荘建築やその庭園や景観に関する言及をもとに、別荘や庭園を造るのに際して哲学が与えた影響は決して部分的ではなく、我々がこれまで想定していたより大きいことを示した。この成果は学会ならびに、2022年刊行予定の『古代地中海世界の文化的記憶』で発表した(「キケロの書簡にみるアテナイの哲学学校と古代ローマの別荘」)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度同様、予定していた海外での資料・発掘調査を遂行することが出来なかった。そのため計画の見直しが必要になったが、古代ギリシアならびに古代ローマの庭園や建築、植物に関連する史料や、発掘報告書などを精査した結果、古代ローマの庭園を造る際にどのような社会的影響を受けたのか、またいかなる知識が造成の際に投影されたのかという新しい観点を研究に取り入れることができた。これらの知見をもとに、論文や学会で研究成果を発表することができたため、研究は進展したと考える。

今後の研究の推進方策

2022年度は、本研究の最終年度の年にあたる。本年は、①植物に関する史料の再精査、②水道インフラの整備の以前と以後で古代ローマの庭園がどのような変化を遂げたのかという二点を中心に研究を進める。また、本研究の成果に関連した内容の論稿の完成を目指したい。

次年度使用額が生じた理由

本来予定していた海外での資料調査・発掘調査を行うことができなかったため、次年度使用額が生じた。2022年は渡航の見通しが立ちつつあるため、2020、2021年度に実施できなかった海外調査を行いたい。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 4件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 2021年韓・中・日シンポジウム覚書2022

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子
    • 雑誌名

      かいほう(古代世界研究会)

      巻: 150&151 ページ: 6-7

  • [雑誌論文] ジェームズ・ローブとLoeb Classical Library2021

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子
    • 雑誌名

      地中海学会月報

      巻: 443 ページ: 6-6

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 第12回 韓中日西洋古代史国際シンポジウム参加記(韓国語)2021

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子
    • 雑誌名

      西洋古代史研究(韓国西洋古代歴史文化学会)

      巻: 62 ページ: 79-80

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Influence and Limits of Hellenization in Roman Architecture2021

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Kawamoto
    • 雑誌名

      The 12th Korea-China-Japan Symposium on Ancient European History. War, Peace and Hegemony in Antiquity

      巻: 1 ページ: 58-66

  • [雑誌論文] Cometary records revise Eastern Mediterranean chronology around 1240?CE2021

    • 著者名/発表者名
      Murata Koji、Ichikawa Kohei、Fujii Yuri I、Hayakawa Hisashi、Cheng Yongchao、Kawamoto Yukiko、Sano Hidetoshi
    • 雑誌名

      Publications of the Astronomical Society of Japan

      巻: 73 ページ: 197~204

    • DOI

      10.1093/pasj/psaa114

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Three case reports on the cometary plasma tail in the historical documents2021

    • 著者名/発表者名
      Hayakawa Hisashi、Fujii Yuri I.、Murata Koji、Mitsuma Yasuyuki、Cheng Yongchao、Nogami Nagatoshi、Ichikawa Kohei、Sano Hidetoshi、Tsumura Kohji、Kawamoto Yukiko、Nishino Masaki N.
    • 雑誌名

      Journal of Space Weather and Space Climate

      巻: 11 ページ: 21~21

    • DOI

      10.1051/swsc/2020045

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 記憶から創造へ:異文化の記憶とその受容(キケロを中心に)2021

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子
    • 学会等名
      日本西洋史学会 小シンポジウム1 古代地中海世界における知の動態と「文化的記憶」
  • [学会発表] ギリシアの哲学学校を再現する:前一世紀の古代ローマの建築・庭園と哲学とのかかわりについて2021

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子
    • 学会等名
      日本西洋古典学会
  • [学会発表] The Influence and Limits of Hellenization in Roman Architecture2021

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Kawamoto
    • 学会等名
      The 12th Korea-China-Japan Symposium on Ancient European History War, Peace and Hegemony in Antiquity
    • 国際学会
  • [学会発表] Raphael von Koeber and Classics in Japan (and beyond)2021

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Kawamoto
    • 学会等名
      The Guangqi Classics Lecture and Seminar Series
    • 招待講演
  • [図書] 古代地中海世界の文化的記憶2022

    • 著者名/発表者名
      周藤芳幸
    • 総ページ数
      N/A
    • 出版者
      山川出版会

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公開日: 2022-12-28  

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