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2022 年度 実績報告書

古代ローマの庭園と「フォーマル・ガーデン」の起源に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K13384
研究機関名古屋大学

研究代表者

川本 悠紀子  名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (70780881)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード古代ローマの庭園 / フォーマル・ガーデン / トピアリー / 古代ローマの別荘 / 古代ギリシア哲学 / 農業書 / ポンペイ / 古代ローマ建築
研究実績の概要

本研究開始時においては、古代ローマ時代以降に書かれた著作の中でフォーマル・ガーデンがどのように扱われてきたのかを検討し、その庭園形式の広がりの過程を明らかにする予定であった。しかし、COVID-19の影響で予定していた調査を2020-2021年度に行うことができなかった。そのため新しく文献を探すことは断念し、古代ローマ時代の庭園記述の再検証を行った。その結果、ギリシア哲学が古代ローマの庭園空間に影響を与えていたという新たな観点を見出すことができた。最終年度においては、この新知見について検討を進めつつ、当初の計画通りの史料調査を行った。
研究期間全体を通じて得られた成果は大きく分けて二点ある。
①後世に書かれた庭園に関する書籍の内、最初期のものにおいては、古代ローマ時代の著作が農地経営や農業の観点で使われていたが、フォーマル・ガーデンを作るための情報源として使われていなかった。例えばトマス・ヒルが1563年に出版し英国で広く流通した最古のガーデニング本では、植物を育てる際の注意点を語るために古代ローマの農業書などを使っているにすぎない。また、本書では木々を刈り込んで作られた迷路の挿絵が登場するが、フォーマル・ガーデンの形成に重要な要素である庭木を刈り込んで様々な形にするという小プリニウスの逸話やその技術そのものについて、古代の著作に依拠していない。それゆえ、木々を刈り込んでフォーマル・ガーデンを作ることの方が先行しており、古代の著作との関連付けは後付けの可能性が高いと理解できた。
②古代ローマ時代の庭園記述を再検討した結果、古代ローマの別荘建築において古代ギリシアの哲学学校とその周辺のランドスケープを反映させた空間が作られていたことが明らかになった。最終年度においては、ギリシアからイタリア半島へ移動してきた知識人が庭園空間周辺の形成に寄与したのではないかとの仮説を立て、検証した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ウィトルウィウスから大プリニウスへ2022

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子
    • 雑誌名

      2022年度日本建築学会大会(北海道) 建築歴史・意匠部門 パネルディスカッション資料

      巻: 1 ページ: 3-9

    • 査読あり
  • [学会発表] ウィトルウィウスから大プリニウスへ2022

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子
    • 学会等名
      日本建築学会大会(建築歴史・意匠部門―パネルディスカッション 建築と古典主義)
    • 招待講演
  • [学会発表] Greek Philosophy and Statuaries in Roman Gardens2022

    • 著者名/発表者名
      Yukiko Kawamoto
    • 学会等名
      Politeismo en la naturaleza en el occidente romano
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 共和政末期以降におけるギリシア哲学の影響: 古代ローマの別荘・庭園を手掛かりとして2022

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子
    • 学会等名
      第21回古代史研究会大会
  • [図書] 『古代地中海世界と文化的記憶』 (担当:「第十二章 キケロの書簡にみるアテナイの哲学学校と古代ローマの別荘」)2022

    • 著者名/発表者名
      川本悠紀子 (周藤 芳幸編)
    • 総ページ数
      464
    • 出版者
      山川出版社
    • ISBN
      9784634672550

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公開日: 2023-12-25  

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