本研究の成果は、国際組織はどのようにして「終わる」のかという国際関係論の議論に有益な一例を提供できる。解散された国際組織は機能不全で非効率であったため、「終わり」は自明であったと考えられがちであるが、本研究が明らかにしたように、コメコンのように非効率な組織であっても、40年にわたって維持されるなかで、各国の対外経済関係を大きく規定してきた。そのため、いざ終わらせるときに、後継組織の有無や別組織への吸収等をめぐって活発な議論が繰り広げられ、現に行われたような形での解散は必ずしも唯一の選択肢でもなければ自明でもなかった。こうしたアプローチは、他の消滅した国際組織の研究においても有益であろう。
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