研究課題/領域番号 |
19K13390
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
坂野 正則 上智大学, 文学部, 教授 (90613406)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 近世ヨーロッパ / フランス / ナント王令 / 宗教論的転回 / 宗教と空間 / パリ / ノートル=ダム大聖堂 / 建築と宗教 |
研究実績の概要 |
2020年度について、当初の年次計画では、科学史や思想史を中心とする研究を深化させると同時に、パリでの史料調査を計画していた。しかし、新型コロナウィルスの感染症拡大の状況の下で、研究の実施対象と方法の再考が必要となった。 そこで、当該年度は、前年度に着手したパリ・ノートル=ダム大聖堂の復興をめぐる歴史的研究の完成に注力することとした。具体的には、前年度に実施したシンポジウムの成果をいくつかの媒体で公にすることである。具体的な研究実績としては、『上智史学』において、シンポジウム開催をめぐる研究動向や報告を掲載した。また、このシンポジウムを発展させる形で論文集の編纂と論考の執筆を行った。その成果は、2021年3月に『パリ・ノートル=ダム大聖堂の伝統と再生』(勉誠出版)という論文集を公刊することができた。 その中で、パリのノートル=ダム大聖堂の近世におけるリノベーションの過程で、「ナント王令体制」の時期の王権による統治戦略が極めて重要であったとの認識を得ることができた。この問題は、パリ以外の事例とも比較しながら、さらに深めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は海外における史料調査を実施することはできなかったが、前年度に新たに着想することのできた主題を、本研究課題の中で有機的に連関させることに成功し、論文集の出版を実現できた。また、あらたな研究体制へ向けた研究素材の探索や人材面の開拓についても国内外で発展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、出版した成果をさらに上位の次元へと引き上げるための研究活動に邁進したい。一つは、ヨーロッパ規模でのゴシック式大聖堂の歴史的転回の調査である。もう一つは、既に着手しつつある17世紀前半における建築家や画家の信仰についての問題について、研究報告を行いたい。同時に、2020年度に実現できなかった史料調査の可能性を模索していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスによる感染症拡大のため、海外渡航を伴う史料調査に制限が出たため生じたもので、次年度以降この計画の実現へ向け事態を注視していきたい。また、デジタル史料の活用も積極的に検討していきたい。
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