研究課題/領域番号 |
19K13398
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
瀧上 舞 山形大学, 人文社会科学部, 学術研究員 (50720942)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 同位体分析 / ラクダ科動物 / アンデス / クントゥル・ワシ遺跡 |
研究実績の概要 |
2019年度の研究実施計画は主に3つあった。(1)クントゥル・ワシ遺跡とインガタンボ遺跡のラクダ科動物とシカの歯をサンプリングし、輸出申請を行う。また、翌年以降のラスワカス遺跡とコトシュ遺跡のサンプリング予定を立てる。(2)すでに入手済みの現生試料(現生植物試料、現生動物骨試料)の同位体分析を行う。(3)9月24-27日にチリで開催される南アメリカ考古学と同位体ワークショップに参加し、これまでに分析してきたパコパンパ遺跡の同位体分析について報告する。 (1)について、予定通りクントゥル・ワシ遺跡の動物骨のサンプリングを実施した。インガタンボ遺跡は当該遺跡の調査団長と予定が折り合わず、2019年のサンプリングは延期された。その代わり、コトシュ遺跡の出土動物骨を一部サンプリングすることが出来た。コトシュ遺跡の追加試料及びラスワカス遺跡は2020年度以降にサンプリングする予定で、当該遺跡の調査団長と打合せを行っている。 (2)について、現生植物試料の分析を2019年7月に行った。この結果について、(3)の国際ワークショップおよび古代アメリカ学会大会で口頭発表を行った。 (3)について、国際ワークショップに参加し、口頭発表を行った。また古代アメリカ学会第24回研究大会においても口頭発表を行っている。 これらの3つの計画については概ね順調に進んだ。なお、クントゥル・ワシ遺跡・コトシュ遺跡の試料が予定より早く輸出申請許可が下りたため、分析を進める予定であったが、申請者の体調不良・病気療養・新型コロナによる社会情勢のため、測定を行うことはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年8月-9月にサンプリングした動物骨試料の分析にすぐに取り掛かる予定であったが、ペルー・チリ調査の最中に高山病による軽い低酸素脳症及び熱中症を起こしたため自律神経が乱れ、体重の急激な減少を伴い、2019年10月から11月までは体調不良のため実験を進めることができなかった。さらに2019年12月上旬に急性虫垂炎を発症し、入院・手術を行ったため、2019年12月から2020年1月は体力低下が生じ、実験を行えなかった。それに伴い、2020年1月に予約した総合地球環境学研究所での測定予約はキャンセルせざるを得なかった。その後、体調が戻り、2020年2月は実験を進めたが、新型コロナによる自粛等の社会的混乱により、2020年3月の測定予約は総合地球環境学研究所側から中止を言い渡された。これらの理由により、試料の分析が予定より少し遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書の計画では、2020年度は大きく3つの予定であった。(1)コトシュ遺跡の動物骨をサンプリングし、輸出申請を行う。(2)クントゥル・ワシ遺跡とインガタンボ遺跡の動物骨の分析を進める。(3)2020年12月の古代アメリカ学会において、クントゥル・ワシ遺跡のラクダ科動物飼育の調査結果について報告を行う。 (1)については、すでに2019年の時点で一部の試料をサンプリングし、輸出申請も終えている。 (2)について、分析試料数が多いため、2019年度の時点で実験・測定を開始する予定であったが、上述した申請者の体調不良・病気療養・新型コロナによる社会情勢のため、測定を実施できていない。2020年4月現在、申請者の所属する研究機関も、測定予定の総合地球環境学研究所も、実験を伴う研究活動が停止されている。この状態は5月末まで続く見通しとなっており、実験を再開できる時期が不確かである。そのため、2020年度はペルー夏期調査を中止し、遅れている実験を進める計画に変更する。 (3)について、実験を進めることができれば、調査結果を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述した申請者の体調不良・病気療養・新型コロナによる社会情勢のため、2019年度後半に予定していた実験・測定を予定通り進められなかった。そのため2019年度の測定費の予定として計上していた「その他」の予算を残す形となった。この費用はそのまま2020年度の測定費として使用する予定である。
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