古代マヤ文明のみならず、メソポタミア、エジプト、ギリシャなどの古代都市の成熟と、称号を持つ役人の登場は相対関係にある。すなわち、都市王朝の発展と役人の関係を明らかにすることは、人類社会の本質に迫れる。本研究は、古代マヤ文明の称号を有する集団の政治的側面のみではなく、これまでほとんど知られていなかった日常生活を発掘や化学分析による総合的な調査によって明らかにできた。 この成果から、古代マヤ社会における政治的地位と富の蓄積の関係を考察した。ラカム集団に関しては、碑文に書かれた高い政治的地位と実際の経済状況に乖離がみられるために、西洋中心的な政治と経済の相関関係では説明できない社会的構造を解明できた。
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