中国古代史上の一大画期である、春秋戦国時代の青銅器生産・流通の実態を明らかにするべく、まずは青銅器の紋様にあらわれた系統性に着目した型式学的分析により、青銅器の生産・流通の大きな画期が前5世紀後半~前4世紀前半にあることを明らかにした。さらに文字史料への分析も加えることで、そうした現象が当時における中央集権的国家体制の出現と密接に関連していた可能性を指摘した。 また春秋戦国時代の青銅器の鋳造技術にあらわれた特徴を明らかにするために、鋳造実験をベースとした実証的見地から検討を加えた。その結果、春秋戦国時代の青銅器を特徴づける施紋技法と、銘文の製作技法について蓋然性の高い仮説を提起することができた。
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