研究課題/領域番号 |
19K13412
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
坂本 俊 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40808903)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 文化財石垣 / 技術史 / 石工 / 考古学 |
研究実績の概要 |
本研究は、城郭石垣に用いられた石垣構築技術に焦点を当て、「石工技術の可視化」を目的として、次の課題を設定した。①:中世から幕末までの城郭石垣の技術的特徴を考古学的に分類し、年代や地域、大名、改修履歴などの情報を統合した中・近世の石工技術の基礎データベースを作成すること。②:作成したデータベースから石垣整備の場で活用可能な要素を抽出し、指標を確立すること。③:データベースの機能と活用範囲を明確にすること。 初年度については、47都道府県の城郭遺跡のうち、石垣を有する城郭を『日本城郭大系』や行政で実施された分布調査報告書などをもとに指定の有無、整備状況なども含めて集成した。その結果、現状の石垣整備は国史跡を中心とした法的根拠が明確な城郭遺跡に対して行われており、近世城郭の件数が圧倒的に多いことが明らかになった。その一方、戦国期~織豊期の城郭石垣は、純粋な一次資料として遺構が十分に保存されている可能性が高いことを示しているのであり、現地調査の対象地を絞る基礎データを得ることができた。 現地調査を行う上で、写真から簡易に三次元モデルを構築し、技術的特徴を抽出したいと考えており、そのデモテストを行った。本年度は、四方から撮影可能な大型五輪塔を対象として、正確なモデル作成を目指して調査を実施した。モデルの作成には成功したが、石垣を対象としてテスト出来なかったこと、技術的特徴の抽出やモデルの提示方法について課題を残した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
城郭石垣を対象とした三次元モデル作成のデモ調査と方法論の確定、東北地方への現地調査が実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度作成したデータベースをもとに各地方で実施する現地調査の対象地を選定を進め、調査を実行する。同時に、石垣構築に関わる個別技術の分類等について先行研究を踏まえて整理を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額については、当初予定していたデモ調査と関東・東北地方への現地調査が実施できなかったことが背景にある。データベースの作成に時間をかけたため、次年度は調査地を厳選し、調査に速やかに移行していく。
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