研究課題/領域番号 |
19K13412
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研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
坂本 俊 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (40808903)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 考古学 / 技術史 / 歴史学 |
研究実績の概要 |
本研究における「石工技術」とは、「石垣構築技術」と「採石・加工技術」の二種の技術を包括的、かつ体系的に捉えた定義である。本研究では、「石工技術の可視化」を最終的な目標に位置付け、専門ではない行政の文化財担当者でも解釈可能な指標の構築を目指す。 本研究の一年目は、データベースの作成を進め、三次元モデルの作成手順の確認と有効性を検証し、二年目に各地への現地調査を積極的に進める予定をしていた。しかし、新型コロナウイルスの流行によって研究活動に制約が生じたことで、東海地方を中心に調査地を決めて集中的に現地調査を実施した。 令和2年度は、データベースに情報を蓄積しつつ、東海地方を中心に現地調査を実施した。調査は、9月20日・22日に福地氏城・伊勢神戸城・鳥羽城(三重県)、高取城(奈良県)、11月30日~12月3日に赤谷山城・美濃金山城(岐阜県)、名古屋城・市場城(愛知県)、二股城・鳥羽山城・興国寺城・駿府城(静岡県)において行った。 東海地方は、織豊系城郭への石垣の導入が分かる小牧山城(愛知県)や岐阜城(岐阜県)があり、石垣構築技術の技術的展開を明らかにするうえで注目していた地域である。調査の結果、石材加工度や隅角部の様相などといった従来の研究でも着目されていた点に加えて、間詰石のあり方と配石方法を基準に加えることで石垣の技術的な特徴を捉えられる可能性を見出すことができた。この2点は、石材の性質に左右されない要素であり、石工の技術を直接的に示している可能性がある。今後さらに検討を深めつつ、実地調査による資料の蓄積を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北地方、九州地方から現地調査を積極的に進める予定であったが、新型コロナウイルスの流行によって研究活動に制約が生じたため当初予定していた30%程度しか実施できなかった。その一方、分布調査報告書などから石垣を有する城郭集成が進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、令和2年度に引き続き現地調査を中心に研究を遂行していく。その際、新型コロナウイルス対策のため、できる限り車移動を行い、人との接触を避ける。また、降雪地域から調査を実施し、データ収集を行っていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査が新型コロナウィルスによる活動自粛によって実施できなかったことが大きな原因である。令和3年度では、現地調査の確実な実施と人材を雇用したうえでデータ整理を進めていく。令和4年3月末には成果報告書を刊行する予定である。
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