本研究は、中世から幕末までの城郭石垣の技術的特徴を考古学的に分類し、年代や地域、大名、改修履歴などの情報を統合した中・近世の石工技術の基礎情報を集成し、石垣整備の場で活用可能な技術的指標の確立を目指した。石垣遺構を有する城郭遺跡と発掘調査事例を集成し、その上で中国、東北、関東・甲信越、九州の各地方で51か所の城郭遺跡で現地調査を行った。 城郭石垣の技術的側面は、隅角部や築石部の石積み方法や矢穴技法、地域性などの要素を複合的に捉える必要があり、極めて複雑な構造物であることを再確認した。その一方、石材の加工法、間詰石の配石法は石工の技術的特徴を反映した要素として捉えられる可能性を明らかにできた。
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