研究課題
若手研究
本研究では、遺跡から出土した墨書土器や硯などに付着した墨の粒子の径などから、製墨方法の違いや墨の品質違いを明らかにした。墨の使用が始まったとされる紀元前後では、前漢出土の硯などから日本の古代以降の墨粒子よりもやや大きい粒子が確認できた。一方で、日本国内の弥生時代の硯とされる石製品の付着物からは、墨の粒子は確認できなかった。日本国内出土の資料では、地域や時代、遺跡によって墨粒子の大きさが異なり、製墨方法や使用された墨の品質の差が明らかとなった。
考古学
これまで、墨に関して科学的な分析は個別の分析ばかりで網羅的な分析はされてこなかった。本研究では、前漢代から中世までの時代の資料、中国および日本国内各地の資料の分析を実施した。この研究により、墨をとおして東アジア全体の”漢字”を中心とした文化の形成過程や広がりを明らかにするための基礎的な成果を得ることができた。