研究課題/領域番号 |
19K13420
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研究機関 | 京都芸術大学 |
研究代表者 |
増渕 麻里耶 京都芸術大学, 芸術学部, 准教授 (50569209)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 現産地推定 / 古代製鉄 |
研究実績の概要 |
本研究は「古代西アジアの社会システムの変化を製鉄技術の変遷から考察する」という考古学的テーマに基づき、鉄製品内部の非金属介在物を技術のタイムカプセルとみなし、その希土類元素組成に着目した製作地の特性化を目指している。高エネルギー放射光の透過性を活かした非破壊での製作地推定法の開発が本研究 の特徴である。 本研究は鍛造技術の地域性に着目するものであり、古代西アジア各地の鉄器時代の始まりが物質文化交流の変化を契機とするのか、職人集団の技術発展によるものなのかという考古学的論考への貢献のほか、サンプリングが許されるケースのほとんどない考古資料にも科学的研究の対象を拡大する可能性の創造が期待さ れる。 2019年度は4年間の研究期間の初年度であった。当初はこれまで行ってきた放射光高エネルギー蛍光X線(SR-HE-XRF)分析を続行し、元素マッピングや定量値の 信頼性の検証を行う予定であったが、所属機関の変更に伴う研究環境の変化により、目的としていた実験を行うことができなかった。 2020年度は本格的な調査分析の再開をめざし、アナトリアの鉄製品及び鉄滓を中心とした研究対象試料の基礎調査を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大によって、国内外での現地調査や所属期間外での分析調査が事実上不可能となったため、関連書籍や研究論文の基礎調査を進めるとともに、国内の分析試料獲得と委託分析先の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により所属機関から出張の禁止要請が出たことで、国内外の遺跡に出向いての分析試料の獲得、及び、外部施設での希土類元素の分析調査を進めることができなかった。関連書籍や研究論文の基礎調査に徹したため、予定していた学会発表も見合わせることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も、国内外の遺跡に出向いての分析試料の獲得や外部施設での分析の実施が困難であることが予想される。このような中で研究を遂行していくために、以下の方策を検討している。 ①分析対象を国内のものに限定し、郵送等での分析試料の確保に努める。 ②所属機関での分析が難しい場合には、外部へ委託分析を依頼しデータの確保に努める。
①に関しては、一昨年度に資料調査を行った岡山県の備中国新見庄たたら伝承会や愛媛大学アジア古代産業考古学研究センター への協力を依頼する予定である。②に関しては、現在所持している鉄製品資料に対してレーザーアブレーションICP-MSでのマッピング分析を行うほか、鉄滓等に関してはICP-MSによる微量元素分析を通して希土類元素の挙動の把握を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により所属機関から出張の禁止要請が出たことで、国内外の遺跡に出向いての分析試料の獲得、及び、外部施設での希土類元素の分析調査を進めることができなかった。関連書籍や研究論文の基礎調査に徹したため、予定していた学会発表も見合わせることとなった。 本年度も、国内外の遺跡に出向いての分析試料の獲得や外部施設での分析の実施が困難であることが予想される。このような中で研究を遂行していくために、分析対象を国内のものに限定し、郵送等での分析試料の確保に努めるほか、所属機関での分析が難しい場合には、外部へ委託分析を依頼しデータの確保に努め、研究資金の計画的な利用を心がける。
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