近現代の紙資料の酸性化問題は日本のみならず世界の博物館、図書館の問題でもある。特に特定の年代に作られた紙資料の酸性化が著しく、取り扱いができないほど状態が悪化している。しかし、紙料の量が膨大でかつ所蔵機関の予算や人材不足により重要な紙料が放置されていることが多々ある。実際、各国の国立機関以外のほとんどの機関は上記のような原因により多くの紙資料が活用できない状態であるため、酸性化防止、かつ酸性化を抑制する方法について調査が必要だと考えられた。その中、美栖紙、宇陀紙はアルカリ性質を帯びることに注目した。これらの紙は酸性化の抑制に効果を持ち、多くの紙資料の酸性化問題解決に可能性を示すと考えられる。
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