研究課題/領域番号 |
19K13431
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研究機関 | 滋賀県立琵琶湖博物館 |
研究代表者 |
中村 久美子 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 主任学芸員 (80626135)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 野外活動 / 幼児 / 博物館 / テキストマイニング |
研究実績の概要 |
2019年度毎月一回の(8月、3月を除く)野外活動で18人分の発話の記録を行い、以前からの録音データを合わせて計82人分が収集した。加えて、展示室活動での発話はディスカバリールームの利用者を対象に2019年8月,10月に記録を行い、前年度と合わせて計50人分を収集した。さらに、子どもに伝わりにくい分野の補助ツールを検討することを目的に、展示キットを作成した。そしてB展示室において展示キットの効果を検証するため、2019年7,9,11月に展示室および展示キット利用時の発話記録を行い、計89人分を収集した。 2月末からは臨時休館に伴い野外活動及び展示室での調査ができないため、3月以降は録音データのテキスト化作業と解析を進めている。3月末時点で野外活動(61名)、展示室活動(30名)、展示キット(58名)の計149人分をテキスト化した。これらの一部を使って学びの効果として選定した①名詞カテゴリー(興味関心の対象の変化)、②振り返り、③協同、④疑問についての集計をしたところ、どの活動でも疑問が最も出現回数が多かった。活動別では野外より展示室で、振り返りの発言が多かった。さらにテキスト化を進め、学びの効果4つを比較する。 加えて、野外活動における参加者に活動前後のアンケートを実施したところ、自然や野外に関わりたい人は教育福祉施設にあまり来ないことが分かった(N=24)。そのような人が博物館での野外活動に参加することで、地域を超えた保護者同士の新しいコミュニティになっていることが明らかとなった。 また、展示室活動においては、幼児は特に展示交流が大きな影響を及ぼしていると考えられる。B展示室での調査でも、展示キットの有無に加え、展示交流員の有無によって滞在時間に差が見られた。展示交流の整理および今後の展示交流の在り方についての検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度までは、野外活動、展示室活動のデータ収集もおおむね順調に進んだ。加えて展示キットのデータも予定数以上に収集できた。野外活動では、参加者数の減少がありデータ数が前年度よりも少なかったため、2020年度も継続して収集することを決めた。しかし、現在臨時休館中で活動が中止しているため、あまりデータの増加は見込めない可能性がある。今までのデータ数を合わせれば十分解析可能な範囲と思われるため、現時点でのデータを用いて解析を行うこととする。 調査に用いる展示キットは2テーマを作成することができた。今まで展示内容に加えにくかったテーマを子どもにも関心を持ってもらえるような工夫をした。調査後は展示室に常設しており、人気のキットとして活用されている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度をデータ収集の最終年度とするが、臨時休館の状況に合わせて検討を重ねながら進める。休館中は現在とりためたデータ整理を進める。 年度後半からは、データ解析を行い、野外活動、展示室活動、展示キットに関する学びの効果についてのまとめを行う。 最終2021年度には、学びの効果を引き出すプログラムの開発(幼児及び小学生向け)として作成した展示キットも参考にし、展示室及び屋外展示を含んだ博物館の子ども向けガイドとしてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会が中止になったり参加できなかったりして、使用予定だった旅費が少なくなった。翌年度はより積極的な学会参加のため旅費を使用する。 また、人件費は年度初めに依頼先が決まらず開始が遅れたことで少なくなった。2020年度以降は継続して依頼できるため、よりデータ整理作業を効率的に進めるため翌年度分に使用する。さらにまとめの年の子ども向けガイドに向けて、作業を進める。
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