研究課題/領域番号 |
19K13439
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
市川 康夫 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (60728244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | オルタナティブ農業 / ヒッピー / 共同体 / ユートピア / 農村移住 / 五月革命 |
研究実績の概要 |
本年度は、オルタナティブな農村のあり方を模索した過去の事例、そして現在の事例の2つを軸に各種調査をした。過去の事例については、かつて存在した共同体コミューンに関する資料収集・文献収集を行い、ヒッピーのコミューンの日記資料、ネオペイザンの証言資料、68年五月革命とユートピア思想に関わる資料を収集した。また、現在の事例については、オーベルニュ地方のメザン地域に赴き、現在オルタナティブな農業を実践している農家たちの紹介を繋ぐ手はずを予備調査として行った。その他、かつて共同体コミューンが存在していた村々があるセヴェンヌ地方を中心に、かつてLacroix(1971)が示したフランスの共同体地図に基づき、その足跡をジェネラルサーベイした。セヴェンヌ地方ではコミューンの多くは消滅しているところも多いが、中には共同体を継続しているところもあった(アルシェ共同体など)。また、オルタナティブな生活を模索する共同体の分布の重心は、セヴェンヌ地方からよりピレネー側に移動していることがわかった。特に、アリエージュ県は近年でもヒッピー共同体(あるいはエコリュー・エコヴィレッジ)などが多い場所となっていることが明らかとなった。この発展の下地にはかつての共同体の存在もあるが、それ以上に2000年代以降の新しいネオヒッピーの登場(あるいはエコヴィレッジの増加)が影響していると考えられる。アリエージュへの集中はこれまでに想定していなかったため、こちらをどのように調査に組み込むかは現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね、当初予定していた計画に準じて進行している。本年度は、2つの査読論文、そして本研究課題とも関連が深いテーマについて書籍化を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、調査の紹介予定を受けた農家への聞き取り調査を行うことと、集めた資料から過去の農村における共同体やコミューンに関わる資料分析と論文化を行う。
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