研究課題/領域番号 |
19K13442
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉田 国光 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (70599703)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 社会ネットワーク / 地域らしさ / 家族農業 / 小規模農業 / 地産地消 |
研究実績の概要 |
2021年度は(1)小規模産地における農産物の消費形態に関する研究,(2)農業をめぐる諸主体間の社会ネットワークに関する方法論の検討に取り組んだ。(3)輪島市白米千枚田の文化財として農地利用の継続される仕組みについて検討した。(1)については,奧能登地域における農産物の地産地消について,飲食店への聞き取り調査から地場農産物,海産物の利用状況に関するデータを収集し,現在,分析中である。分析結果から得られた成果を,地理科学学会で口頭発表した。口頭発表での質疑応答を経て,英語論文として執筆し,国際誌へ投稿できるように準備を進めている。(2)については,内外の既存研究のレビューをもとに方法論に関する展望論文を執筆した。論文をJournal of Asian Rural Studiesへ投稿したが,査読結果の通知まで6ヶ月を要した。2022年に1月条件付き受理となったが,所属機関の異動と重なり,修正対応は年度明けとなった。2022年度中には刊行が見込まれる。(3)については,元指導学生とともに取り組んだ。前年度までに登校準備の段階まで到達していたことから,本年度は投稿と査読結果に応じた修正,再投稿を行なった。その結果,学術誌「地理科学」への採録が決定され,印刷されている段階である(池田尭弘・吉田国光2021.石川県輪島市「白米千枚田」の維持-様々な主体による水稲作利用に注目して-.地理科学:74(4)印刷中)。 またその他の成果として,本研究課題に関連する既発表論文を翻訳論文として発表できた(Yoshida, K.2021. Analysis of Social Relationships in the Transfer of Farmland Rights in a Large-Scale Upland Farming Area, Hokkaido(English Translation).Geographical Review of Japan Ser. B94:31-47.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内を対象とした部分においては,当初の計画通りに進めている。トカラ列島方に関する事例研究については学術論文として執筆を準備している段階である。金沢市の情勢を鑑みて奥能登地域で調査を実施し,英語論文として投稿する段階まで準備が整いつつある。他方,海外事例については,2020年2月末から3月にかけて現地調査を実施する予定であったが,新型コロナウイルスの蔓延により,パンデミック終息まで研究を延期することをカウンターパートと決めた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は最終年度であり,これまで延期していた現地調査も実施せねばならない。一方で,本研究の遂行にはフィールドとの信頼関係が第一である。我々の研究の名の下にフィールドに住まう方々の日常生活や安全を脅かすことはあってはならないので,情勢を見極めながら臨機応変に対応する。遠方でのフィールドワークを実施できない場合には,日帰りで現地調査できる地域で研究として成立しうるテーマへアレンジや,方法論的検討を中心とした展望論文の執筆を重点的に進める。また国際学会には参加しにくくなっているので,異なる機会で発表を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外での現地調査と国際学会での発表を予算として計上した研究計画であったため,COVID-19の蔓延状況から当初の見込み通りの予算執行ができなかった。 海外出張が叶わない場合,国内研究の比重を高めたり,英語での成果の発信に係る翻訳・校正などのウェートを高めた予算執行を計画している。
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