研究課題/領域番号 |
19K13448
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐々木 孝子 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (30777462)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 台湾 / 社区営造 / 地域力 / ネットワーク / フィールドワーク |
研究実績の概要 |
昨年度の懸案事項であった社区営造活動に不参加の住民に関する調査については、寺廟(佛山寺)の関係者及び地元NPOの幹部と知り合うことができ、その人たちの伝手でアンケートを開始した。地元NPOの幹部を通してアンケート配布を手伝ってもらうほか、佛山寺の前或いはその隣にある茶店で待機し、近隣の人が通りかかった際にはアンケートを依頼し、少しずつデータを増やしている状況である。目下の集計結果に見られて不参加者の特徴として、社区発展協会の会員よりも会社員等の勤め人が多く、人間関係の中心が村外にある傾向があることがわかった。一方、社区発展協会会員に関しては、村に滞在する時間が長く、人間関係も村内を中心とするなど不参加者と異なる結果が得られている。紐帯は緩やかでも、ノード間の関係がより近しいという仮説が立ちつつある。 他方、社区営造のリーダーである村長に実施した追加インタビューでは、社区営造の過程が、リーダーの学歴に対するコンプレックスから自ら文化を定義するに至る学習過程でもあったことを把握し、地域づくりは地域の学習の過程でもあることを実証した。この内容は、ヨーロッパ台湾学会(2021年4月、オンライン)にて「地域力」に注目した内容で発表を行うほか(A Case Study about a Community’s Initiative Forming in a Participatory Community Development Process, Shequ-yingzao as a Strategy against Authoritarianism)、これに関連した内容での論文を投稿中である(Taiwan Insight)。また、行政院農業委員会水土保持局による「自主防災社区2.0共識営(2020年12月)」にて招待講演(応用Active learning於防災教育活動)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大学の業務等が忙しくなり、永楽村に滞在する時間がとりにくくなって調査の進行が遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
ネットワーク調査結果の分析を進め、結果をまとめる一方で、佛山寺を中心に参与観察を続ける。同じ村内でも、村長の活動と寺廟の活動は全く異なる理屈で進行している。当然ではあるが、それを村の運営という視点から見た場合、日本の限界集落の運営に対する示唆が得られる可能性がある。今後の研究の展開を念頭に、ていねいなフィールドワークを実施したい。 研究発表については、日本台湾学会(5月)での分科会実施、Community Development Society(USA):2021conference(7月)への参加及びパネリストとしての同学会への招聘が決定している。そのほか、ヨーロッパ台湾学会への投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の関係で、予定していたチェコ及びアメリカでの国際学会が今年度に延期になったため次年度使用額が生じた。今年度は、パソコンの購入(経年劣化による接続不良等のため)及びアンケート結果の入力・解析補助、ネイティブチェック等の人件費に使用する予定である。
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