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2023 年度 実績報告書

「地域の文脈」モデルを用いた歴史災害研究の提案―昭和戦前期の都市水害を事例に―

研究課題

研究課題/領域番号 19K13450
研究機関北海学園大学

研究代表者

谷端 郷  北海学園大学, 人文学部, 講師 (70817444)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード都市水害 / 昭和戦前期 / 地域の文脈 / 尼崎 / 京都
研究実績の概要

本研究は昭和戦前期の都市化地域における水害の実態を、都市化という「地域の文脈」の中に位置づけて考察することを目的とする。災害やその対策の問題は「地域の文脈」に依存するがゆえに、場合によっては水害後の対応がかえってその後の被害を悪化させる事態をも招きうる。このような点について、災害の要因を「地域の文脈」の中に位置づけることによって、災害対応が不十分となる背景の理解が可能となる。また、これまでほとんど着目されてこなかった1930年代の都市水害の実態解明を通して、従来の都市水害の歴史的展開を見直すことも意図している。
全体を通じてア)まず「地域の文脈」モデルを提示するための枠組みの構築と、イ)事例研究のための資料収集・整理に取り組んだ。ア)に関しては、これまで博士論文で行った1930年代の京都市、大阪市、神戸市における都市水害の事例研究をベースに、当時の都市水害の発生原理とその要因を図式的に整理した。イ)に関しては昭和9年室戸台風で被害を受けた尼崎に関する事例研究(事例①)と昭和戦前期京都市の都市化と水害に関する事例(事例②)とに分かれる。事例①については今年度現地調査を行い、昭和9年室戸台風時の尼崎市とその周辺町村の被害実態について整理し、災害によって工場地帯へと一挙に変貌を遂げたわけではなく、場所によっては農業生産を継続しようとした地域もあるなど、地域のおかれた文脈により災害対応に差異が見られることが明らかとなった。事例②については、戦前から戦後にかけての水害の実態に関わる地図資料と工事関連資料を入手し、その整理・分析を行った。災害後の対応に関する分析は収集した資料が限られていたため、思うように進められなかったが、被害の実態についてはより詳細に復原できた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 水害の記憶:継承という視点から2023

    • 著者名/発表者名
      谷端 郷
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 51 ページ: 112-119

  • [雑誌論文] 2022年学界展望 自然環境・災害2023

    • 著者名/発表者名
      谷端 郷
    • 雑誌名

      人文地理

      巻: 75 ページ: 346-351

    • DOI

      10.4200/jjhg.75.03_346

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 1934(昭和9)年室戸台風による尼崎沿岸部の高潮災害2023

    • 著者名/発表者名
      谷端 郷
    • 学会等名
      2023年度立命館地理学会大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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