本研究では、中国浙江省義烏市における現地調査に基づき、中国内陸部から中国沿岸部にアラビア語通訳として出稼ぎに行く回族と呼ばれるムスリム・マイノリティの移動に焦点を当て、中国とイスラーム諸国との間での経済交流の促進が人々の移動の活発化をもたらし、イスラーム復興に影響を与えてきたプロセスを考察した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降は中国大陸での調査が困難になったため、インドネシア人を中心とする外国人ムスリムが増加する台湾のムスリム・コミュニティを対象に、台北市と桃園市において現地調査を実施し、外国人ムスリムの増加が中華系ムスリムの宗教実践にもたらす影響について考察を進めた。
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