本研究は、フィンランドの高齢者ケア制度の私事化/民営化の進展状況を明らかにする為、行政の在宅介護チームにおける組織改革と効率化が現場にもたらした影響について参与観察を実施した。また、高齢者ケアをめぐる自己選択と家族・親族関係についての理解を深める為、親族介護や住宅をめぐるケアを実践する高齢者への継続的なインタビューを行った。さらに、高齢者ケアサービスに関わる技術を提供する私企業に対し、行政機関を顧客とする企業からみた公益性とケアの概念についてのインタビューを行った。こうした調査の結果、高齢者自身だけではなく、高齢者を取り巻く家族・親族・ケアワーカーについても個人化が進展していることが判明した。
|