研究課題/領域番号 |
19K13457
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
楠 和樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任助教 (90761213)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アフリカ国家 / 動物疾病 / 統治性 |
研究実績の概要 |
近年アフリカの国々では、人獣共通感染症への対策が策定、実施されている。この問題については、医学、獣医学、生態学など多様な分野の専門家が分野の境界線を越えて連携する動きが広がっている。そうしたなかで、これらの感染症の対策において人間と非人間の動物の生存と健康や、それらに関する知識がどのように「もつれあっている(entangled)」のかへの関心が、人類学者のあいだで高まっている。本研究の目的は、ケニアのリフトバレー熱対策を事例としながら、人獣共通感染症対策が策定され、実施される過程で人間と非人間がどのように「もつれあっている」のかを明らかにすることである。 今年度は、人獣共通感染症に対する過去の取り組みの実態を明らかにするために、イギリスの国立公文書館、大英図書館、オックスフォード大学ボドリアン図書館で資料収集をおこなった。また、ケニアでは牧畜民マサイが住民の多数を占める同国南部のカジァド・カウンティで、リフトバレー熱対策が実施されている過程について現地調査を実施した。一般的に人獣共通感染症に感染するリスクを減らすためには、ウイルスを媒介する蚊を制御したり、衛生的な環境で家畜を屠殺したり、生乳や肉など家畜の生産物を食べる前に熱処理したりすることが求められており、行動変容を促すキャンペーン活動がその対策として位置づけられている。本研究では、東アフリカ共同体事務局によってナマンガ市で実施されたフィールド・シミュレーション・エクササイズを対象として、政府と住民、中央政府と地方政府、政府と国際機関、あるいは住民と家畜のあいだの関係がどのように調整されつつあるのかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に記したケニアでの現地調査とイギリスでの資料調査については、順調に進展している。また、ケニアで予定していた資料調査については、アメリカに長期間研究滞在していたために時間を確保することができなかったものの、自身で実施する代わりに現地の調査補助会社に調査請負を依頼し、植民地期のリフトバレー熱対策に関する資料を収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、予定通りケニアでのインタビュー調査・資料調査を継続する。また、研究を進めるなかで、当初の予想に反して人獣共通感染症に関する過去の国際的な取り組みについて、ケニアの文書館や資料室で得られるデータが限られていることが判明したことから、このテーマについてより詳細なデータを得るためにイタリア・ローマにあるFAO(国際連合食糧農業機関)の資料室(David Lubin Memorial Library)でも資料調査をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度はイタリアでの資料調査も計画していたものの、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行のために実施することができなかった。2020年度はケニアでの現地調査とともに、イタリアでの調査もおこなう予定である。
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