研究課題/領域番号 |
19K13465
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
渡部 瑞希 帝京大学, 外国語学部, 講師 (60782589)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | SNSによる取引関係 |
研究実績の概要 |
今年度も引き続き、コロナの影響でネパールでの現地調査は断念した。その代わりに本研究 のテーマでもあるオンラインによる取引の研究を遂行し、その結果を「観光における不確実性とリスク:不安と分断に抗する観光実践への理論的展望」『観光学術評論』に結実させた、オンラインの研究と関連して「デジタル機器の妖怪学」『帝京大学国際日本学研究』に結実させた。2本の論文ともに、オンラインでの取引が単なる虚構としての仮想空間委とどまらず、現実世界を構成する重要なファクターであることを明らかにしている。これは、本研究の主張と同様、非言語状況によって実際の取引が進行するという観点と類似のものである。 また、本研究の題目の一部である「非言語状況」や新型コロナウイルスの影響で当該調査地を離れた中国人事業家や中国人観光客を「不在」ととらえる新しい知見を得て、2022年度後半からは不在論の文献調査に取り組んでいる。現在、「不在の人類学」と題した研究の可能性を模索しており、それは本研究のテーマと結びつく可能性を秘めている。 その他、2022年度に採択された「基盤B:観光における不確実性とリスク:不安と分断に抗する観光実践への理論的展望」での研究会では、本研究のテーマと関連した「SNSによる中国人観光客の取引関係」について発表した。具体的には、中国人観光客がSNSを駆使して観光と転売の両方を生業としていること、SNSにおけるビジネス関係がどのようなツールでなりたっているかなど、本研究の基盤を固める研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で、研究対象者である中国人観光客がネパールの観光市場にいまだ戻っていないことから、現地調査を実施することは困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
中国人観光客がネパールに戻れば、夏休みもしくは春休みを利用して、現地調査を実施する。また、「不在」という新たなテーマで研究を進展させるため、学会誌である『文化人類学』や『観光学評論』に投稿する。 また、2024年度に単著と共著の出版をする予定であるため、引き続き、SNSによる取引関係に関してオンライン調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度も引き続き、コロナウイルスの影響でフィールドワークの場所であるネパールに渡航が困難であった。また、渡航できたとしても、当初予定していたネパールに訪れる中国人観光客が現地に皆無であるため、調査自体が実行不可能であった。来年度はネパール渡航での調査だけでなく、日本でも可能な調査に切り替え、日本を中心にフィールドワークを行う予定である。
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