研究課題/領域番号 |
19K13466
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岩原 紘伊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任講師 (80757419)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 観光開発 / バリ / 市民社会 / 社会運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、現代インドネシア・バリにおける観光開発反対運動を対象とし、観光地に生きる人びとが生活世界を席巻する観光をめぐる問題に今日どのように関与しようとしているのかを、民族誌的に明らかにすることを目的としている。この目的を達成するために、令和2年度にも現地調査を刊行する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の流行が世界的に継続しているため、渡航が不可能となった。そのため、前年度の調査で得たデータを研究成果として発表する作業を進めた。主な成果は以下の2点である。 1つは、『村落エコツーリズムをつくる人びと―バリの観光開発と生活をめぐる民族誌』を令和2年7月に風響社より出版した。これは、平成30年3月に東京大学大学院総合文化研究科に提出した博士論文を基にしているが、前年度の現地調査で得たNGOアクティビストたちのネットワーク形成と日常実践に関するデータを用いて加筆・修正し、議論を発展させた。もう1つは、日本文化人類学会の学会誌『文化人類学』(85巻2号)において公表した論文「インドネシア・バリの文化的景観」である。同論文執筆にあたっては、前年度の現地調査で得た文献資料などを用いた。 一方、現地調査は不可能であったが、令和2年9月と令和3年2月に現地のNGO関係者や研究者に対してブノア湾埋め立て反対運動の進捗状況についてオンラインでインタビュー及び意見交換を実施した。その結果、研究を進めていくうえでヒンドゥ的世界観における政治という点も掘り下げていく必要があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現地のNGO関係者や研究者に対してオンラインで聞き取り調査を実施したものの、新型コロナウィルス感染症の影響により令和2年度は現地調査を敢行できなかった。そのため、令和2年度に予定していたブノア湾埋め立て反対運動の一般の参加者たちへの調査ができず、研究が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
海外渡航が可能な状況となれば、令和3年度は現地調査を敢行し、運動の一般参加者の動向を把握するための作業を進め研究成果を発表していく。一方、海外渡航が不可能な間は、オンラインによる現地NGO関係者や研究者、新たなインフォーマントへの聞き取り調査を実施するとともに、メディア記事の収集に努め、現地に関するデータの収集することで、研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究を進めるにあたって、現地調査は不可欠であるが、新型コロナウィルス感染症の世界的な流行によって、令和2年度は海外渡航ができなかった。そのため、渡航費分の次年度使用額が生じた。令和3年度は、海外渡航が可能になれば、現地調査を実施する予定である。
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