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2020 年度 実施状況報告書

グローバルな環境変動の中の人間-サンゴ礁関係:メラネシアにおける文化人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K13468
研究機関早稲田大学

研究代表者

里見 龍樹  早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (30802459)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードメラネシア / サンゴ礁 / 気候変動 / ソロモン諸島マライタ島 / 自然
研究実績の概要

本研究は、南西太平洋のソロモン諸島マライタ島のサンゴ礁で独自の海上居住を営む「海の民」の事例に即して、しばしば「人新世」とも呼ばれるグローバルな気候変動の時代における人間とサンゴ礁環境の関係とその変容について、文化人類学的な視点から明らかにすることを目指すものである。当該年度は、2020年8月にマライタ島での現地調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の流行によりソロモン諸島国政府が外国人の入国を禁止したため、現地調査を中止せざるをえなくなった。このため当該年度は、2018年までの現地調査で得られたデータの分析と、それに基づく理論的・概念的研究に専念した。具体的には、マライタ島の「海の民」におけるサンゴ礁との関わり、とくに、この人々が建設し居住してきた独特な「人工島」を事例に、今日の人類学において主要なテーマとして浮上しつつある「自然」をどのように現代的なかたちで再定義しうるかについて論じた著書の執筆を進め、現在までに草稿が完成している。この著書においてはとくに、2011年の現地調査の際にはじめて接した、「海の民」が住まう島々は「岩が死ぬ」ことによりつねに「沈みつつある」という語りを手がかりに、サンゴ礁という生態系とその変動をこの人々がどのように認識しているか、また、そのようなローカルな認識が、グローバルな気候変動に関わる科学的・政治的言説とどのように関わり合いつつあるかについて考察した。そのような考察は、理論的には、「自然/文化」という近代的な二分法を批判したいわゆる存在論的転回や、「現代の世界においては自然のプロセスと人間の社会的活動は混然一体となっている」とする「人新世」の概論などを検討するものであり、マライタ島の事例に基づき、それらの現代的な議論と批判的に取り組むことが当該年度における主な研究内容となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年度から調査地であるソロモン諸島に入国できなくなり、現地調査を延期せざるをえない状況が続いている。このため新たなフィールドワーク・データの収集が遅れている。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染症の流行状況を見極めながら、2021年8月にソロモン諸島マライタ島での現地調査を行うことを計画している。また、ソロモン諸島における入国規制の状況によっては、調査地を変更し、グローバルなサンゴ礁保全活動の現場について調査するためにオーストラリアの研究機関を訪問することも検討している。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の流行により海外での現地調査ができなくなったため、当該年度中の海外旅費を使用しないことになった。2021年8月に現地調査を予定しており、この際に海外旅費を支出する見込みである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] 「戦闘の時代」の島々:ソロモン諸島マライタ島の初期植民地時代をめぐる歴史人類学的考察2020

    • 著者名/発表者名
      里見龍樹
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 85, 3 ページ: 397, 415

    • DOI

      10.14890/jjcanth.85.3_397

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] マリリン・ストラザーンにおける〈イメージの方法〉2020

    • 著者名/発表者名
      里見龍樹
    • 雑誌名

      日本オセアニア学会ニューズレター

      巻: 126 ページ: 1, 18

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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