本研究課題は、南西太平洋のサンゴ礁に居住する「海の民」と呼ばれる人々における環境変動の体験・認識について民族誌的に明らかにすることを通じて、現代のグローバルな環境変動について人類学的に考察するための方法論を提示しようとするものである。新型コロナウイルス感染症流行の影響で、当初予定していた現地調査は行うことができなかった。その代わり、これまでの現地調査のデータを再分析し、それに基づいて著書『不穏な熱帯――人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』(河出書房新社、2022年)を出版した。加えて、サンゴ礁をめぐる科学的知識の動態を把握するために、国内におけるサンゴ礁科学の研究拠点でフィールドワークを行った。
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